デッキに出れた!!

ところがどっこい

救命ボートの周りには人でごった返していた。

どうなってんだこの舟は!
  まだ乗れないのか!?
おい船長!
 
ナンジャソリャー!
私達はただ
楽しく世界10周旅行していただけなのに!
お待ちください!
救命ボートの支度が整うまでしばらくお待ちください!
順番に並んでください!
子供のゴリラが優先です!
ボートは十分用意してあります、落ち着いて並んでください!
  そんな事を言って
自分たちだけ助かる気じゃないだろうな!? 
いいから早くしてくれ!舟が今にも沈みそうだぞ!
くそっ
これ以上待ってられるかよ!


俺が先だ!
おい!割り込むな!
ガオー!
ナンジャソリャー!




差し迫る危機は人々の心を醜く汚していた。

そんな中、一人の男が割って入る。



  私を先に乗せろ!

聞け!私は男爵だ。

助ければ後々見返りがあると思わんか…!? 
   ……
  …わかりました、ポテト男爵
どうぞこちらへ 
  そんな! 
   待て!卑怯だぞ!
   黙れ黙れ!ポテト男爵こちらの救命ボートへ
  うむ 



   あの…
   えぇいなんだ!
   私、王女です
   どけぃポテト男爵!さ、プリンセスこちらへ
  そんな! 
   ざまーみろポテト!
   これから我等と海に逝こうぜ!?
  待て待て待て!
その娘が王女だという証拠でもあるというのか!? 
  む、確かに…失礼ですが
身分を明かせる物はお持ちですか? 
  王家に伝わる短剣とゴーグルが…
あ、それとスマホの予約ページにも… 
  ポテト男爵を海へ投げ捨てろ!
王家に歯向かう愚か者めが! 
うおおおおおおお!覚えていろ!

必ず復讐してやるぞ!

王家に呪いを!





ポテト男爵は海の藻屑となって消えていった。


 そして王女と脱出した